夜空を焦がす火柱と男たちの執念。備後国府まつりで目撃した、一瞬の「火花のアート」

みなさん、こんにちは。フォトグラファーのYuki Kurodaです。
夏の風物詩といえば花火ですが、みなさんは「手筒花火(てづつはなび)」を間近で見たことはありますか? 遠くの夜空に見上げる大輪の打上花火も素敵ですが、目の前で轟音を立てて火柱が吹き上がる手筒花火には、言葉を失うほどの圧倒的な「生」のエネルギーが満ちています。
今回私がカメラを携えて向かったのは、広島県府中市。かつて備後国の国府が置かれた歴史あるこの地で、毎年夏に開催される「備後国府まつり」のクライマックスを撮影するためです。
中国地方では非常に珍しい、本格的な手筒花火。火粉が舞い散る過酷な美しさの中で、私がファインダー越しに見たもの、そしてその圧倒的な臨場感を一枚の「作品」に仕上げるためのカメラ設定について熱く語っていこうと思います。
降り注ぐ火の粉のシャワー。五感で震える「ハネ」の瞬間

会場に到着すると、すでにお祭り特有の熱気と、どこか張り詰めたような緊張感が漂っていました。手筒花火は、火薬を詰めた竹筒を人間が直接両手で抱え込んで揚げる、まさに命がけの伝統。本場・愛知県豊川市から招かれた揚げ手(花火師)たちの表情は真剣そのものです。

「いよー!いよー!」の合図とともに、闇の中に凄まじいシュルシュルという音が響き渡りました。

次の瞬間、夜空に向かって垂直に突き抜ける10数メートルもの巨大な火柱。 もの凄い轟音とともに、周囲に火の粉のシャワーが激しく舞い散ります。驚くべきは、その火花を文字通り「全身に浴びながら」、微動だにせず竹筒を抱え続ける男たちの姿です。衣服が焦げる匂い、肌を焦がすような熱風が、カメラを構えるこちら側にまでダイレクトに伝わってきます。
そして数十秒後、手筒花火の最大のハイライトである「ハネ(ハネ込み)」を迎えます。 ドンッ!という、お腹にズシンと響く大爆音とともに、筒の底が破裂して足元へ一気に火花が抜けるのです。
恐怖に打ち勝ち、火の海の中で仁王立ちする揚げ手たちのシルエット。その一瞬を切り取ったとき、ファインダー越しに鳥肌が立つほどの感動を覚えました。

明暗差を支配する。手筒花火をドラマチックに写すテクニック
手筒花火は、カメラマンにとって最高にエキサイティングであると同時に、非常に難易度の高い被写体です。なぜなら、真っ暗な闇夜と、爆発的な輝度を持つ火花の「極端な明暗差」があるからです。
今回は、私が実際に現場でセレクトした機材と、火花の躍動感を表現するための設定をシェアします。
- 【撮影機材】
- カメラ: Canon EOS R6
- レンズ: 単焦点中望遠レンズ(100mm F2)
- 【カメラ設定】
- シャッタースピード: 1/60秒 流して撮る場合は 1/3秒
- F値(絞り): 4.0 流して撮る場合は 8.0
- ISO感度: 1600 流して撮る場合は 100
💡 プロが教えるワンポイントアドバイス
① シャッタースピード「1/30秒」で火花を線にする 手筒花火の撮影で最も重要なのがシャッタースピードのコントロールです。1/500秒などの高速シャッターで止めると火花が「点」になり、少し寂しい印象になります。逆に秒単位の長秒露光だと火花が重なりすぎて真っ白になってしまいます。 今回は「1/30秒」に設定することで、飛び散る火の粉が美しい「一本の線(光跡)」として流れつつ、揚げ手の身体がブレずに止まる絶妙なバランスを狙いました。
② あえて「アンダー(暗め)」に、ISOは控えめが鉄則 カメラの自動露出(マルチ測光など)に任せると、暗い夜空を明るくしようとして、主役である火花が完全に白飛びしてしまいます。高感度耐性の強いCanon EOS R6ですが、あえてISO感度は400程度に抑え、マニュアル露出で「かなり暗め」に設定。こうすることで、火花のオレンジ色が濃密に残り、火に照らされる男たちの渋い表情がドラマチックに浮かび上がります。
③ 煙のディテールまで残す描写力 手筒花火は大光量とともに大量の白い煙が発生します。F値を少し絞り(F4.0)、階調表現豊かなフルサイズセンサーで捉えることで、激しい火花だけでなく、それを包み込むスモークの立体感までリアルに描写することができます。
写真は、その場の熱量まで閉じ込める
打上花火が「静」から「動」への美しい軌跡なら、手筒花火は人間の情熱と火薬がぶつかり合う「熱量の結晶」です。 今回撮影した写真は、ただ綺麗な火花が写っているだけでなく、揚げ手たちの息遣いや、観客の歓声、そして府中市の夜空を揺るがしたあの爆音が、今にも聞こえてきそうな一枚に仕上がりました。
写真には、言葉を超えて人の心を一瞬でその場所に引き戻す力があります。
「自分たちの地域のお祭りを、もっと魅力的に発信したい」 「伝統芸能や職人のダイナミックな姿を、最高のクオリティで写真に残したい」
そんな熱い想いをお持ちの方は、ぜひ私にその瞬間を切り取るお手伝いをさせてください。
出張撮影のご依頼・お問い合わせ
私は広島を拠点に、各地のお祭り、伝統行事のドキュメンタリー撮影から、躍動感あふれるポートレート、風景写真の撮影・販売を行っています。
- イベント・お祭り撮影: その地域が誇る歴史や熱気、関わる人々の真剣な表情を、ドラマチックな作品として残します。
- 出張ポートレート・ロケーション撮影: 最高の光とロケーションを計算し、あなただけのストーリーをカタチにします。
機材の選定から当日のシチュエーションに応じた特殊撮影まで、プロならではの技術でご期待にお応えします。ご相談や予算のご要望は無料でお受けしておりますので、どうぞお気軽に公式ホームページの「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。あなたの大切な瞬間、そして熱い想いを、最高の1枚として残せる日を心から楽しみにしています。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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